100パーセントの自家発電は難しい

発電に必要なことはなんであるか、考えてみましょう。それは「必要な時に必要な量だけ供給すること」です。電気は流れていくものです。一部を蓄電することはできても、それらのすべてをダムのようにどこかに溜めることはできないのです。

それを念頭においた上で、家庭での発電方法を考えてみましょう。現在一番ポピュラーな家庭での発電方法は「太陽光発電」です。そして次に風力発電です。家庭用の火力発電や原子力発電の設備などは、聞いたことがありません。

家庭用に火力も原子力も、その設備がないのは、「エネルギー」を取り扱うということはとても危険なことであるからです。発電は専門的なオペレーションです。太陽光や風など、自然のチカラを受けて「受動的に発電」するのであれば、あまり深くモニタリングする必要はないのかもしれません。ですが、火力や原子力など、「制御」しなければいけないパワーを用いる場合には、それらは完全にモニタリングして制御しなければいけません。

家庭で利用が可能なのは、制御しなくても良い安全なパワーです。太陽光も風も、そういう意味では安全です。ただ、「制御」できません。制御できない上に天候、気候に左右されます。雨の日が続けば発電できなくなります。まったく日光がささない日、まったく風が吹かない日もあるでしょう。そのようなときに、100パーセント自家発電に頼っていては電力がまったく足りなくなる恐れもあるのです。

太陽光発電の場合、その太陽光発電パネルの「発電効率」というものも重視されます。同じ太陽光発電でも、パネルの性能が違えば発電量が違うのです。現在、各家庭にサウ着されている太陽光発電パネルは性能がバラバラでしょう。そして風力発電の風車に至っては、実用化されてはいるものの備えている家庭はごく一部です。そのようなことを鑑みると、「電力は供給されなければいけない」という事実は変わることがありません。家庭ごとに、自分の家で使う分だけを発電し続けることはできないのです。

ですから、社会としてどのように電力を供給してほしいのかを考える必要があります。原子力は危険であること、そして火力はいつか燃料がなくなってしまうことを考えると、「水力」がもっとも有力です。ですが、日本の狭い国土の中で、同時に最先端の国家である日本の総電力を賄うのはとても困難です。そうだとすると、やはり電力供給の国際化が期待されます。人の住まない広大な土地で、自然のエネルギーを利用して発電し、それを各国で分け合うのです。そのような取り組みが実用化されるまでにはまだ当分時間がかかりそうです。それでも、私たちは「今」電力が必要です。だから「今」工夫するのです。「今」考えるのです。

いつの世の中も「完璧」というものはありません。新しい技術が登場しても、また何か足りなくなるものです。30年前に夢想した世界に、もしかしたら「今」変わっているのかもしれません。それでも、次の「30年後」を夢想するのが私たちです。そうやって進歩してきたのが私たちです。私たちの知的探求には終わりはないものなのです。常に何かを考えている、常に何かを追い求めているものなのです。電力事情も、確実に次の時代が来るのです。

 
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