原発の問題とは

火力以上に莫大なエネルギーを秘めているのが「原子力」です。原子力は、発見され、実用化されてまだ100年も経たないニューエネルギーです。

原子力と聞くと、私たち日本人の頭の中に浮かぶのは先の大戦で広島、長崎に投下された原子力爆弾の暗い事実です。「核」と呼ばれる一連の技術は、一貫した技術であり、私たちはその技術を兵器としてではなく、平和的な目的のために利用することもできています。ですが、大きすぎるエネルギーと、いざというときにそれを制御できないということを私たちは先の震災で身を持って知りました。

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原子力発電所では核分裂という現象に伴う「発熱」で、水を沸かし、水蒸気を作り、そのチカラでタービンを回転させます。その運動エネルギーが電気となり、私たちの家庭に届けられているのですが、この「発熱する材料」自体が危険なのです。それは「核燃料」と言われます。核燃料の利用の際に必ず必要になるのが「冷却材」です。放置しておくと核燃料はどこまでも加熱し続けます。やがて格納容器などをも溶かす高温状態に至ってしまうのです。そうなるともう手が付けられず、熱によって設備が崩壊していくままになります。

それが「メルトダウン」という事象です。原子力発電においてもっとも忌避すべき自体です。

未だ事態が収集しない、福島の原発でも、これが一番危惧されたことでした。加熱し続ける核燃料棒を満たしていた冷却用の「水」、これが循環できなくなったことが事態の発端です。それが循環できなくなったのは、想定外の津波による電気系統のダメージでした。電気系統がすべて故障し、原子炉の中がどうなっているのかがモニターできなくなってしまったのです。作業員自身も身の安全を確保しなければいけない状況のなか、時間の経過とともに確実に原子炉は損傷していったのです。

そのような事態は「自然災害なので」という理由で看過してもいいことではなく、津波で被害にあった街とともに「仕方がない」ということでは済まされません。放射能を発する放射性物質は周囲に拡散され、近隣住民は長い避難生活をはじめなければいけなくなりました。原子力発電所がそこにあったために、「帰ることのできない我が家」となってしまったのです。

現在の人類の英知をもってしても原子力発電所の事故を収束させることはできず、拡散してしまった放射性物質は回収することができません。それらの物質が放射能を発しなくなるまで、私たちは生身の体では近づくことができないのです。それはたしかに地震が起きなければ発生しなかった事態ではありました。ですが、「長い間取り返しがつかない」という事態に陥ってしまった以上、そして日本では「どこで大地震が起こるかわからない」以上、今のままでは危険な状態であることに変わりはないのです。

震災の打撃で著しく発電能力が低下したため、首都圏でも計画停電などの措置がとられました。結局のところ、制御できる火力発電所を再稼働させるなどで足りない電力をまかない始めたのです。ただ無尽蔵に発熱し続ける核燃料を利用することは、一見合理的ではあるのですが、その半面大変危険な行為であったということです。私たちは奇しくも三度目の核の洗礼を受けた唯一の国に暮らしているということです。

 
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