自転車で発電できるか

一昔前の自転車、今でも残る自転車の一般的なライトは自家発電です。回転するタイヤの動力を活かすことで、明かりを灯し、暗い道を照らします。あのライトはもっとも原始的な自家発電の仕組みです。

私たちの身体の動きを効率的に運動エネルギーに変換し、通常では敵わない移動速度を実現する自転車は、「人間」の動力を最大限移動に特化させた画期的な発明です。現代になっても私たちは自転車を利用します。歩いて行くのは遠いところでも、自転車であれば到達できるものです。同じ人間が動いているのに、速度も疲労感も段違いの自転車は、永遠の傑作です。

自転車のポイントは一度動き出したそのチカラを「慣性」として活かすことにあります。そして重力さえも取り込み、坂道などではペダルを漕がずとも移動することができるのです。普段歩いていると、歩くのを止めた瞬間に移動は止まってしまいます。足を動かし続けなければ、私たちは移動できないのです。ですが、自転車であれば違います。一度動き出せばその「エネルギー」は保存されていて、ロスが少ないカタチで移動に活かされます。「車輪」が回転し続けることで、一度動き出したチカラは保存され、移動し続けることが可能なのです。もちろん、摩擦がゼロというわけではないのですから、やがては止まってしまいますが、「足を止めたら止まってしまう」という状態ではないため、私たちは効率的に、最小限の運動量で移動することが可能なのです。

それは動力を「私たち」に置いたもっとも効率的でエコロジーな「乗り物」です。車であればガソリンが必要です。電車であれば電気が必要です。ですが、自転車に必要なのは私たちの筋力であり、歩くよりもはるかに少ないチカラで遠くまで移動することが可能なのです。

その「自転車」を使って、発電することもできます。私たちの身体の中でもっとも強い筋力を持つ「足」を使って自転車を漕ぎ、発電することができるのです。その取組みはさまざまなところで考案され、さまざまなカタチで実現されてはいます。ですが、家庭内の電力をすべて賄うということまでには至っていません。それはやはり「給電し続けなければ動かない」という電化製品があまりにも多いからです。それらの電化製品を使うためには電気を供給し続ける必要があり、辞めてしまうと給電がストップするからです。そして、さすがに一人のチカラだけでは、一台の自転車だけではすべての電力は賄えません。

私たちには有り余るチカラがあるものの、それだけでは多くの人を電車に載せて遠くに運んだりすることはできないのです。私たちが持つチカラのすべてを効率的に発電に回したとしても、現代文明を維持するだけの電力は創りだすことができないでしょう。それほどまでに、私たちは生活するために電力を消費しているのです。

便利な世の中にはなりましたが、自然の燃料を搾取するか、危険な技術を使い続けることでしか、私たちは生きていけないという状態なのです。それが「悪い」のか「良い」のかは、現代ではわかりません。やがて現代社会の論じることができる「未来」に、その議論は託すしかありません。私たちが過去の歴史を語るように、「今」を評価するのは私たちの子孫なのです。

 
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