水力発電設備とは

現在、電力は「運動エネルギー」から取り出すことが一般的です。安定的な運動エネルギーを、そのまま電力に変換し、網の目のように張り巡らされた送電網によって各家庭、各職場に届けられているのです。

電力を「つくる」ためには安定的な何かの「運動」が得られればよく、現在でもそれはさまざまな方法で実現されています。火力発電では、火力といいながら「水」を沸騰させ、水蒸気を発生させ、そのチカラで「タービン」を回して発電する方法です。水蒸気を発生させるための手段として、「火」を用いるのであって、火で何かを動かしているわけではないのです。火力発電の利点は燃料の投下具合で稼働を制御することができる点です。電力は蓄えておけるものではないので、「需要」に沿って全体の使用料に合うカタチで供給する必要があります。火力発電はもっとも制御しやすく、かつ調整もできるため、需要によって稼働を調製し、全体の電力量のバランスをとっているようです。

一見便利なように見えるこの火力発電では、ひとつの難点があります。発電するために「燃料」が必要であるということです。それは私たちの文化を支える「化石燃料」です。化石燃料には限界があり、いつかはなくなってしまうと考えられています。いわばこの化石燃料を電力に変換しているようなもので、燃料と違って電力は蓄積できないので、一度発電してしまったらそれを使わない限り「燃料のムダ」ということになるのです。

火力発電に対して、「水力発電」というものがあります。水力発電は発電に必要な運動エネルギーを「水車」によって生み出します。水車を回すのはもちろん「水」のチカラであり、これは自然に存在する水の流れを利用できるというムダのない方法です。水力発電のすごいところは、全世界の電力使用量が12兆キロワット時であることに対して、開発可能な地域で発電できる電力の潜在数値が17兆キロワット時もあるということです。つまり、私たち人類はその気になればすべての電力を地球上の「水の流れ」から得ることができるということです。

電力の難しいところは「貯蔵できない」という点であり、現在では国々で分断された送電網があるだけです。使用する地域に近いところで発電し、供給するしかなく、アマゾン川で発電した電力を東京で使用するためには膨大な整備が必要です。ですが、いつかなくなってしまう化石燃料をただ使い続けるよりも、地球が生み出す無限の水の流れを利用する方が効率的であり、かつ安定的にエネルギーが確保できるはずです。地球の営みを電力に変換するだけなのですからこれ以上クリーンな方法はないのではないでしょうか。

すでにいくつかの水力発電所が稼働していますが、まだまだそれだけでは全電力を負担することはできません。後顧の憂いのないエネルギーを利用することで、未来永劫維持できる電力設備を整えることが私たちに必要なことなのかもしれません。もちろん、建設には莫大な費用がかかりますが、その後得られる電力は無限に等しいのです。地球に水の流れがある限り、生み出すことができるエネルギーなのです。

電力を運動エネルギーから変換しているということは、「何か動いているもの」からその運動エネルギーをわけてもらえばいいということでもあったのです。

 
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